2024年9月13日(金)

お口の中を楽しくコラム

神経の処置、概論

1)虫歯で来院すると

虫歯には、浅い虫歯と深い虫歯があります。

普段の診療において、来院の主訴がそれほどでなく、そして虫歯もこのぐらいの深さならばと診断すると、虫歯菌に感染しているところをそっと取り除き、金属かレジンかセメントを充填します。

神経の処置1
(下の奥歯のレントゲンです。白く映っている充填物の厚さが違います。余談ですが親知らずが真横向いています。)

麻酔して虫歯を削るときに、神経を少し刺激してしまっている場合がありますので、もし治療直後の麻酔が覚めた時に違和感が出てしまっても、収まるかいつまでも収まらないかを、数日間は様子を見ます。
少し様子見て、収まればそれでおしまいです。

神経の処置2

2)神経の処置をするということ

それでも、
先日詰めた歯が、「いつまでたっても」もしくは「しばらくしてから」、やはりこの歯は痛いような気がしますというケースもあります。
修復物と神経との間が薄くなれば、熱い刺激や冷たい刺激を受けて、神経がむずむずしてくるときもあるのです。

歯科治療ではとにかく痛みに対する治療が最優先としますので、そこではやはり神経の処置を考えることとなります。

神経の処置3

3)神経の処置とは

ここで患者さんが一番知りたいところは、「歯の神経を取ると歯は弱くなってしまいますか」というところでしょう。

ダイレクトな答えにはなっていませんが、歯周病や事故などがなければ、神経の処置をしても10年はダイジョブです。
そして10年といいましたが、10年経つとだんだんもろくなるという意味ではなく(その先もぜんぜん大丈夫なのですが)、人生そんな先のことなんかわからないという意味でつかっています。

神経の処置4
(このレントゲンは、神経の処置をして差し歯にしている歯、レジンを詰めて修復してある歯、そのほかの2か所虫歯、そして中程度の歯周病です。)

4)というのも・・・

まだ卒業したての若いころ、この10年という長さがわからずに、
「この歯が、ちょっとしみるのですが」と来院された患者さんには「なるべく治療をしないで、天然のままそっとしておいたらどうですか」と、
無条件で反射的に答えていた気がします。
あのころ、10年先のことなど永遠と同じことだと思っていましたから。

そして人生3回目の成人式も無事に終えた今、食事のたびにピリっときて「・・・んん?!」なんて不安を感じている患者さんを思うと、神経の処置をして毎日ニコニコと食事をしたほうがいいかなとも思える 心の余裕が出てきました。

「この先、何があるかわからない」というリスクがあるのも事実であり、治療をしないですむものはやはりそっとしておいたほうがいいですよ…とも付け加えておきます。

神経の処置5

後編につづく

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