「先生、歯を磨いていると歯ぐきから出血してくるんです」
だいたい一日一回は、どなたかとこの話、しています。
「私はこのまま歯周病になって、まもなく総入れ歯になってしまうんでしょう?」
と、続けたそうな、お顔をしています。
そこそこきれいに磨けている患者さんの、まあ歯ブラシ時の出血ぐらい、日常のひとコマなんで、
「おやそうですか。こんだけ磨けていればそんなに、心配することないですよ。」と、あしらわれ気味の返答され、さらに不安を募らされているようです(すいませんね)。
ってか、まずは、落ち着きましょうか。
いいですか?
一般的な話をすると、歯肉から出血するということは、
“そこが磨き残しだということ”、それだけなんです。
今までの復習
歯ブラシの目的とは、
歯についている“白いねとねと”をきれいにぬぐい取ることだということは、もう何度も言っています。
あの白いねとねとは、食事した後の食べ物の残りが歯の間にはさまっているのとは全く関係なく、ばい菌の増殖です。
だから、歯磨きとは、
ブラシで歯を磨き上げるのが目的ではなく、
虫歯や歯周病にならないよう、このばい菌を毎回、隅々までていねいにふき取ることです。(しつこいけど)
これらの話が前提にあって、
いつも歯ブラシが当たっていない所とは、
白いねとねとがいつもたまっている所であり、
そのあたりのばい菌をやっつけようと、歯肉に血液が集まっている所でもあるのです。
(下の前歯の裏側)
それが、
- 歯肉が炎症しているとか、
- 歯ぐきが腫れているとか、
- 歯を磨くと血が出るとか、
という状態になっているのです。
だから、なんてことなく、
そのあたりのプラークを、歯ブラシで一週間もていねいに取り続ければ、歯肉の炎症は収まり、出血もしないという状態になります。
わたしもぽやんと歯ブラシをしていると、「あっ、血、出てる」なんてこと、たまにあります。
そんな時は、冷静に、まずはどこに、どんな歯ブラシの角度で当てたら血が出るかのと試行錯誤、悪戦苦闘、難行苦行。
「ああここか。そういえばここをこんな角度で歯ブラシしていなかったな。次回から気を付けよう」となります。
磨き残しの場所なんてなかなか自分では見えないので、たまに歯医者さんに行って、確認してもらったらいかがでしょう。
わたしは、今さら人には聞けない立場になっています。かといってちゃんと磨けているかも、あやしいところです。
気軽に歯医者さんに行って歯ブラシ指導を受けられるひとさまがうらやましく思える昨今です。