2018年8月7日(火)

お口の中を楽しくコラム

虫歯のポーカーファイス

「ほら、焼けたよ」と渡されたサザエをつかんで、殻が鬼のように熱くて、びっくりしたことありませんか?
貝殻は、中身のぐつぐつが外から見えないと、焼く前と後の雰囲気は同じです。

なんかうっかり手でそのまま、持っちゃうんですよね。すっごく熱いをおもいをして、悲鳴を上げる。
しかし、恐る恐るつかんで、冷めてる場合もあるんですけどね。

虫歯もなかなかのポーカーフェイスで、
外見がそこそこきれいで痛みもなくて、
でも実は内面の象牙質がかなり虫歯
という時があります。

歯は白くて堅固なエナメル質に覆われているのはいいのですが、
その内側でトラブルがあった時、クールな外見さで隠されてしまうときがあるのです。

日常の診療で、
「もうちょっと早く来れば、
 ちょっと削って詰めておしまいだったのに」
という場面にちょくちょくと遭遇します。

一方その逆に、
エナメル質に小さな着色をみつけて、
「先生、これ虫歯ですよね」
と患者さんが元気よく来院されます。

「これは大ジョブですよ。じゃあまた~」
「え~~っ??」
という場合もあるから、話はややっこししくなります。

ゆで卵の殻がちょっと茶色くなったぐらいで、
殻を突き破って象牙質まで達していない、
まだ虫歯ともいえないぐらいの虫歯なんです。
黒い点は消えませんが、ちゃんと歯ブラシしていると、ずっとそのままのときもあります。
目くじら立てて、どか~んと削り取って何かを詰めての修理するのも、どーかなという場合もあります。

早期発見で勇んで来たら軽くあしらわれるし、
ちょっと行くタイミングを逃して嫌味を言われたり、
患者さんも大変です。

  • これは治療はしなくても。
  • これはやったほうがいいか


そこで定期診査の“定点観測”が大切とになります。
実はすこし経過観察後、やはり診断・治療となる場合もあります。

少し特異な例ですが、
乳歯の虫歯で、もうすぐ大人の歯が下から生えてきているから様子見て行きましょうね、なんていう場合もあります。

何か起きてからでなく、何でもない定期診査でよく話を聞いておきましょう。

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