洗口剤の効力
「洗口剤ってどうなんですか?」
という話を、先日患者さんとしていました。
リステリンとかモンダミンとかマウスウオッシュとか、あれ何なんなんですかという、素朴な質問、素直な心。
歯の健康を保つには、なんといっても歯磨き第一。
ハミガキ・ファースト。
歯磨きという単語に惑わされて、光り輝くように磨き上げれば歯周病にも虫歯にもならないように思われがちですが、そうではなくてあの白いばい菌(=歯垢)を、重箱の隅がないようにふき取ることが目的です。
とは、もう何度も言っている通り。
ブラッシング指導では、歯垢を可視化するために、特殊な赤インクを綿棒でポンポンポンと染め出して、よーくお口をすすいでもらいます。
すると、ほらこの通り…
…と、ここで、
先ほどの回答です。(前置きが長い)
力強く“ぶくぶく”をしてこの状態ですから、歯垢というのは口をゆすいだだけではおちないというのが、おわかりでしょうか。
夜に眠いからといって、リステリンだけですますのは ほとんど意味ないことが理解できます。
ごしごしとたわしでこすり上げるかのように磨くのは厳禁ですが、それでも粘着性があるのでちょっとは触らないと取れません。
細菌の社会
“細菌叢”という言葉がありまして、口腔内や腸内細菌や皮膚には様々な種類の細菌がいて、この細菌たちは微妙な勢力バランスというもので成り立っています。
いい菌が勢力が張っていて悪い菌の繁殖を抑えるとか、普段良くも悪くもない菌があるとき突然悪い菌として活動しだしたりとか、人間のもつ免疫能力というものが常にパトロールしているとか、こんな日常の中で人間の健康は保たれています。
そこに最近は、コロナ禍でやたらめったらのアルコール消毒。
人のからだは、この微妙なパワーパランスで保っているところに、さらに新たなる勢力が投入されて、援軍が来たと喜んでいるのでしょうかそれとも戸惑っているのでしょうかね。
乳幼児の死亡率が100年前と比較して格段に良くなったのは、衛生面の改善であるのは、間違いのない事実です。
一方で、最近では、たとえば解熱剤などは使わずに、人間が本来持つ能力で健康を回復させたらどうかという意見も見かけます。
体に致命傷を与えないという前提ではありますが、ある程度のストレスをかけたほうが長い目で見たらそのほうが丈夫に有益ではないかということです。
もう発育成長を期待していない年配の私には関係ない話ですけど。
口の中の500種類もの細菌たち
口腔内の細菌叢の話だけをすると、歯の健康を保つためには歯ブラシで物理的に、この細菌軍団をまとめて洗い流すことによってリスクを少なくしましょうにつきます。
そもそも口の中に、細菌がたくさんいるということは基本的に仕方のないところです。それでも、
全体量が増えていくと、例えばカビの仲間であるカンジダ菌も多くなり、多くなれば体にとって症状が出るという確率も高くなるということになります。
よって、洗口剤の目的としては、
”この細菌増加のスピードの抑制”ですが、
それでも一番の効能は、さっぱりするです。